メタボ基準値は、内臓脂肪量、血圧値、脂質値、全ての点で男女共通

低栄養素を基盤とした疾患よりも過栄養による病態が先進国を中心に急増し、メタボリックシンドロームの世界的な問題化を危惧したWHO(世界保健機関)は、動脈硬化による心血管疾患を予防対策を呼びかけました。

中高年に循環器疾患を招く恐れ

これを受けて国内でも日本人の体形・生活習慣に即したメタボリックシンドロームの診断基準を作成し、メタボリックシンドロームを疾患概念として確立し、飽食と運動不足によって増加してきた心血管疾患に対して、効率の良い予防対策を確立を目指すことになりました。

メタボリックシンドロームはウエスト径の増大で示される内臓脂肪にくわえ、3つの心血管疾患リスク(高血圧・高血糖・脂質代謝異常)の2つ以上に該当するものと定義されました。飽食や運動不足→内臓脂肪蓄積→リスク集積→動脈硬化→心血管疾患の発症という流れを理解し、生活様式を変える予防医学を実践していこうというものです。

肥満に加えて脂質異常症、高血糖、高血圧の4つがすでに重なっている人は、心血管疾患のリスクは最も高くなっており、この状態を「マルチプルリスクファクター症候群」(死の四重奏)といいます。そのため、厚生労働省は健診(労災保険二次健診給付事業)の事業として、心血管疾患予防のための検査・保健指導の費用を負担しています。

メタボリックシンドロームの予備軍としては、ウエストの増大がありリスクは1つ、あるいはBMIが25以上で1つのリスクを持っている人(肥満症)が挙げられます。

従来、マルチプルリスクファクター症候群に対しては最も目立った異常の改善を目的としており、他の併存する病態は放置されてきたか、またはそれぞれの病態を複数の薬剤で治療するケースがほとんどでした。メタボリックシンドロームの診断基準ができたことで、運動の奨励をはじめとした内臓脂肪蓄積を減少させるライフスタイルの改善を積極的に行う意義が明確となり、これによりその先にある複数リスクの改善、さらには効率的に心血管疾患を予防できると期待されるようになりました。

内臓脂肪蓄積はメタボリックシンドロームの構成因子のなかでも中心的な役割を担っており、診断基準の必須項目となっています。内臓脂肪が蓄積すると男女とも同様にリスク合併数が連続的に増加します。健診では簡便な指標が必要であることか、CTスキャンによる内臓脂肪面積ではなくウエスト径が採用されました。

女性は肥満になると男性より腹部皮下脂肪が蓄積されることから、ウエスト径は男性の85cmに対して、90cmと基準が設定されました。日本の基準値は、内臓脂肪量、血圧値、脂質値、全ての点で男女共通のもとのなっています。

既に高血圧、糖尿病、脂質異常症で治療中の人のなかにもメタボリックシンドロームは見られます。これらの疾患を発症するには遺伝的素因が関与する場合も少なくありませんが、過栄養による内臓脂肪蓄積が引き金になって病態が進行するケースも多く見受けられます。高血圧、糖尿病、脂質異常症の場合でウエスト径の増大があり、さらに他のリスクが1つ以上あればメタボリックシンドロームとなります。

このような場合は、内臓脂肪の減少を目指すことが、合併するリスクを1つでも減らし、また原因疾患を安全に治療するためにも重要です。心血管疾患の予防にも注意し、必要であれば循環器系の検査も行います。

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